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冬の読書 [読書]




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秋から冬にかけて、面白かった本です。

百田尚樹 「永遠の0」
百田尚樹の大ベストセラ-。
明日から公開される映画の原作としても話題になっていますね。
太平洋戦争中、愚かな軍部の暴走によって、どれだけ多くの尊い命が失われたかと思うと、
悔しくて、情けなくて、涙涙で大変でした。
ダンナにも、読まなきゃダメ!と言いました。
宮崎 駿監督の「風立ちぬ」は、零戦を作った技術者側からの視点でしたが、
「永遠の0」は、零戦搭乗員として戦ったパイロットと周囲の人々の物語です。
日本はかつて、こんな愚かな過ちを犯した事実があったんだって、
未来を担う若い人に知って欲しい。
年齢は問わず、
便利に使いこなしてるつもりで、実はスマホの奴隷になってるとか、
ゲ-ムやネットの世界に入り込んで現実の世界に出てこられないとか、
体温が感じられない、他人に共感する能力が低下した人々っているでしょ。
激しい表現になってしまってコメンナサイ。
そういう人々に、読んで欲しいです。
映画は、原作の感動のままにしておきたい気もするし、観たい気もするし、思案中。


トレイシ-・シュヴァリエ 「貴婦人と一角獣」
中世美術の至宝とされる、6枚綴りのタペストリ-「貴婦人と一角獣」。
今年、日本で展覧会が催されて、ご覧になった方も多いと思います。
誰が、どういう意図をもって・・・と謎が残されたタペストリ-。
その製作にまつわる物語が、歴史的背景と史実も織り交ぜながら繰り広げられます。
登場人物が魅力的で、ぐいぐい惹きこまれてしまいました。
作者は、フェルメ-ルの名画から発想を得て「真珠の耳飾りの少女」を書いた人で、
そういうジャンルを得意としているんですね、さすがです。


シャルロット・ヴァランドレイ 「見知らぬ心臓」
実在のフランス人女優 シャルロット・ヴァランドレイの自伝です。
10代でエイズ感染、34歳で心臓移植手術という体験を持つ彼女。
過酷な現実に向き合った心の動きが、語られています。
心臓移植後、食べ物の嗜好が変わったり、
何度も、同じ場所と内容と恐怖感の夢を見るようになったり、
理解を超えた体験をするようになった彼女は、
移植された心臓の元の持ち主が誰だったのか?と考えるようになっていきます。
そこへ、心臓の持ち主との関わりを暗示させる人物からの手紙が・・・・
いったいどこまで本当なの?と思いながら読み進んでいくのは、面白かったです。


アラン 「幸福論」
説明の必要もない名著ですね。
いつも、そばに置いておきたい一冊です。
重々しくなく、押し付けがましくないので、
自分の弱さが許される気がして、肩の力がフッと抜ける感じでしょうか。


ディケンズ 「荒涼館」
ミステリ-も含んだ筋なので、一回目はスト-リ-を追って。
二回目は、饒舌過ぎるくらいの描写を味わって。
心洗われる善良な人から、ぶん殴ってやりたいずる賢いヤツまで、
階級も職業も老人から子供まで、あらゆる人物のオンパレ-ドです。
そんな人々の特徴全てが、実は誰もが内に持っている人間の本質的な部分なんだと思わされます。
ディケンズの人間観察は鋭くて容赦ないですが、
逃げ道一本残しておいてくれる情も感じます。
今どき、古臭いのかもしれませんが、
ディケンズの作品に出てくる、けなげに生きる人々に寄り添いたいと思ってしまうし、
ヴィクトリア時代の風景や人々の暮らしを想像しながら、
映画を観るように読んでしまいます。
ディケンズの世界は、やっぱり好きだなと思いました。








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夜と霧 [読書]


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朝、空を見上げると一面のウロコ雲!
秋ですね・・・
超乾燥と大雨、今年の夏はどうしちゃったんでしょう?
亜熱帯化してるんでしょうか?
ちなみに神戸は、先日の集中降雨まで
ほぼ一ヶ月まっっっったく雨が降らず、
降水量は平年の一割にも満たなかったのです[たらーっ(汗)]
毎日の水遣りがシンドカッタ・・・一日も気が抜けなくて。
やっと雨と思ったら被害が出るほど降り過ぎで・・・
皆様は、いかがお過ごしでしたでしょうか?

暑いと何にも集中できなくて、
読書も、いつにもまして乱読気味でしたが、
その中でもスイ-と読み進めた何冊かです。

堀 辰夫と立原道造の詩集は、
10代の頃、軽井沢とかサナトリウム文学とかに憧れていた時期のもので
久しぶりに引っ張り出したらボロボロですね(笑)

時のみぞ知る ジェフリー・ア-チャ-
ツリ-ハウス 角田光代
ポルトベ-ロの魔女 パウロ・コエ-リョ
文明崩壊 ジャレド・ダイアモンド
晴子情歌 高村 薫
天使のゲ-ム カルロス・ルイス・サフォン

ここらへんは、作家で選んでます。

そして

夜と霧 ヴィクト-ル・E・フランクル

この一冊が重く

フランクルは、ウィ-ンに生まれた精神医学者です。
ユダヤ人であるがためナチスの強制収容所に入れられ、
その体験を記したのが「夜と霧」です。

人間が生きることには、つねに、どんな状況でも、意味がある、
この存在することの無限の意味は
苦しむことと死ぬことを、苦と死をも含むのだ。  
人生の意味を問うことをやめ、
私たち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。
考え込んだり言辞を弄することによってではなく
ひとえに行動によって、
適切な態度によって、正しい答えは出される。
人生は、あなた方から期待している。
あなたを待っている何かがあるはず、
ひとりひとりが余人には代えがたい存在。
自分が「なぜ」存在するかを知っている人間は
ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられる。
この世には、ふたつの種族しかいない、
まともな人間とまともではない人間と。
人間とは、人間とは何かをつねに決定する存在だ。
人間とは、ガス室を発明した存在だ。
しかし同時に、
ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもある。

感想をまとめるとか、軽々しく言えないです。

「それでも人生にイエスという」
この言葉を、どんな時も思い出せるでしょうか?
私みたいな奴でも。














                           




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パルムの僧院とペトラルカのソネット [読書]




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「パルムの僧院」の舞台は、
ナポレオンがヨ-ロッパの主役から降ろされつつある頃のイタリア。
パルマ公国(実際のではないが)の宮廷で繰り広げられる恋愛活劇です。
題名からすると、宗教的で哲学的な求道者の話?とか思うんですが、
トンデモナイ(笑)
枠にはまらない個性的な登場人物ばかりで。
それぞれの欲望や思惑のためなら手段を選ばない・・・とはいえ、
どこか憎めないし笑っちゃう。
すごく楽しかったですね。
主人公は美貌の青年貴族ファブリスですが、
ワタシ的に、ちいっとも魅力がわからん。
それより、ファブリスの庇護者である叔母サンセヴェリナ公爵夫人が好きでしたあ。
生の人間て感じ。
基本、自分本位の超ポジティブ思考で。
あんな風に生きられたら・・・・・

物語の筋とは関係ありませんが、
高名な詩人として、ペトラルカの名前が挙がる場面があります。
私は文学方面からでなく、
リストのピアノ曲でしか知らなかったんです。
ペトラルカの文学者としての地位を、あらためて認識しました。
そこで、リストの「ペトラルカのソネット」を引っ張り出してきて(笑)
弾いてマス。




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真理は時の娘 [読書]



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ジョセフィン・テイ著「時の娘」。

2012年8月、
イギリス、レスタ-州の駐車場から、
リチャ-ド3世の遺骨が発見され、大きな話題になりました。
1485年、薔薇戦争の終局ボスワ-スの戦いで、
頭部の負傷により戦死したとされる傷跡。
身体的特徴の側湾症。
DNA鑑定によって本人と確認されたそうです。
500年以上の間、誰にも知られず眠っていたんですね~。
敗者となったため王として埋葬されず、
遺体は捨てられたに近い状態だったようです。
王位を巡っての争いって残酷。

薔薇戦争とか、その前の百年戦争とか、
ややこしそうで避けてきましたけど、
推理小説としてなら読みたいなと思って。
しかも女流作家の作品です。

怪我により入院中のロンドン警視庁グラント警部が、
ふと目にしたリチャ-ド3世の肖像画に興味を持ち、
残忍な甥殺しと悪名高い王が、本当はどんな人物だったのかを推理していく話です。
主役がベッドから動けないので、
友人、同僚、看護士などの人々の助けを借りながら、
真相に近づいていくんです。
病室に、登場人物が入れ替わり立ち替わり現れては去るのが、
舞台劇に似て面白い手法だと思いました。

歴史資料として既に世に出ている内容でも、
警察官が事件を推理して真犯人を追い詰めるという筋書きに
グイグイ引きこまれてしまいました。

表の歴史は、例外なく勝者に都合良く語られます。
王位を勝ち取ったチュ-ダ-朝ヘンリ-7世側によって、
甥殺しの汚名を着せられ極悪非道の王にされちゃったリチャ-ド3世に、
同情してしまいましたよ。
今でこそ、
在位期間は短かったけれど、
国民を思いやる王だったらしいと理解もされてきたようですが。

タイトルの「時の娘」は、
古くから言い伝えられる「真理は時の娘」という諺からだそうです。
真実は、時が経てば必ず明らかになるという意味。
逆に、悪事は必ず暴かれるってことですね(笑)













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晴耕雨読、なんつ-て [読書]



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梅雨の晴れ間って忙しいですよね。
お日様が顔出してる間に、アレもコレもやってしまわなければ!
ダッシュでフル回転(笑)

反対に雨が続くと、用がなければ無理して出かけないし・・・

梅雨明け、まだですかね?

最近読んで満足度が高かった面々。

オスマントルコ最高の建築家を描いた 「シナン」
大陸によって文明の発達に差ができた謎を解き明かす 「銃・病原菌・鉄」
大企業相手に、弱小経営者が正義を貫き勝利する企業小説 「空飛ぶタイヤ」
話題の作家、沼田まほかるの 「猫鳴り」
宮部みゆき「おそろし」の続編 「あんじゅう」
映画化され、アカデミ-賞でも評価が高かった 「ヘルプ」

中でも、驚き&憤り&笑い&感動そして最後が痛快!というのが「ヘルプ」でした[るんるん]
映画を見損なったのが残念。
1960年代って、そんなに昔じゃないでしょうに。
当時のアメリカ南部では、こんなにも理不尽な黒人に対する差別が行われていたなんて、
まず驚き、そして呆れました。
白人家庭で女主人に代わって家事と育児をする黒人女性を、ヘルプと呼びます。
黙々と忍従するだけに見える彼女達ですが、
実は最高に賢くて、優しくて、ユ-モアがあって、
本当に正しくて大切なことを知っている人達だとわかってくる。
登場人物にそれぞれの章を語らせる進め方も、絶妙でした。
濃いけど重たいだけじゃないのがイイです。






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アジヤデ [読書]



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ピエ-ル・ロティ著 「アジヤデ」。
BSの海外紀行番組で見たイスタンブ-ルに反応して、
読んでみることにしたんです。

表紙の絵は、アングルの「奴隷のいるオダリスク」。
オダリスクというのは、ハ-レムで暮らす女性のこと。
ヨ-ロッパのキリスト教世界から想像するオリエントって、こんな感じなんでしょうねえ。

ピエール・ロティとはペンネ-ムで、本名は、ジュリアン・ヴィオ-。
フランスの海軍軍人で、海外に駐在経験が多く、
セネガルやタヒチ、日本にも訪れていたり。
その経験を元に、実話も織り交ぜた小説を発表しています。
「アジヤデ」も、半ば実体験らしいです。

「アジヤデ」。。。不思議な響きですよね。
物語は、イギリス(何故か、フランスじゃない)の海軍軍人「ロティ」が、
赴任したイスタンブ-ルで、ハ-レムの女性「アジヤデ」と出会い、
恋に落ちるというスト-リ-。
豪奢な暮らしはしていても、身分としては女奴隷のアジヤデとイギリス軍人。
この2人に、国際色豊かな人々が絡んできます。
落日近いオスマン帝国の都、東洋と西洋が出会う街「イスタンブ-ル」が舞台となるとね。

イスラム教徒のトルコ青年。
トルコ人ではあるが、スペインがル-ツのユダヤ教徒少年。
アジヤデの召使は、アルバニア人と、ユダヤ教徒の黒人老婆。
カフェのイタリア人マダム、。
東方教会のアルメニア人司祭。

ちょっと挙げても、これだけの人種と宗教、言語ですもん。
そもそも、「アジヤデ」彼女自身もトルコ人ではなく、
黒海とカスピ海にはさまれた、旧ソビエト連邦のコ-カサス地方の女性です。

ロティが語る形式で、話は進みますが、
終始、ロティの自己満足で・・・
アジヤデが何を思うのか、
人間性が伝わって来ない(その必要もない。ということでしょうが)ので、
なんだか、共感できませんでしたわ。
なにしろ、帰国命令でロティが本国に去ったあと、
アジヤデは、苦悩のあまり死んでしまうんですよ。
な、なんて、男の立場的に都合の良いヒロインでしょうか(笑)
イスタンブ-ルに再び戻って来たロティは、彼女の死を知り、
イスラムに改宗、トルコ軍兵士として彼女の生まれ故郷近くの戦地で、戦死までしてしまう・・・・

時代ですよね~。
ヨ-ロッパ的な、キリスト教世界の外に対する見方というか。
たとえば、宗主国と植民地、ヨ-ロッパとアジア、文明と非文明。
異教徒を、蛮なる人々として見る者にしか、書けないわあ。
オリエンタリズムやエキゾチズムに、見下しながらも憧れる心理かしら。
この時代だからこそ、生まれた文学ジャンルというか。
オペラの「蝶々婦人」も、そうですよね。
軍人がアメリカに帰国し、子供も奪われて、蝶々さんは自害する。
男の望む結末ってやつですかね、死んじゃったんだから、しょうがない・・・
あ、そういうスタイル・・・・・

でも、イスタンブ-ルの街は、繊細に丁寧に描かれているので、
自分も歩いているような感覚を、味わうことができます。
かつての栄華を失ったオスマン帝国と、
それに群がるヨ-ロッパ列強やロシアの、パワ-バランスも読み取れます。
世界の海を股にかけた男、軍人としてのロティは、視界が広いなと思いました。


ピエ-ル・ロティは、これ一冊しか読んでいないので、
あ-だこーだ言えませんが(笑)
彼は、軍人としても出世し、
文学者としても、アカデミ-フランセ-ズ会員として名声を得て、
長生きしたみたいです。


本編のあとに、
訳者の工藤庸子さんが書かれた「エキゾチズムをめぐる試論」という長文が、
解説として載っています。
こっちの方が、数十倍、興味深く面白かったです。







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鞄 図書館  [読書]


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芳崎せいむ著 「鞄 図書館」 東京創元社
あいかわらずの私的雑読ですが、最近のヒットはこの本です。

この鞄には、ありとあらゆる本が揃っているという。
時空を超えた伝説の図書館。
鞄と司書の二人旅で出会う、様々な人生が描かれます。

実は、コミックなんですよ。

なんと言っても、ちりばめられた「ゲ-テの名言」が、
癒しとなり、スパイスとなります。

「義務の重荷から われわれを解放することのできるのは
 良心的な実行だけである」

「欠点を改め 過ちを償うことは 最高の幸福である」

「何事につけても 希望するのは絶望するのより良い
 可能なものの限界をはかることは、誰にもできないのだから」

「生活はすべて 次の二つから成り立っている
 したいけれど できない
 できるけれど したくない」

読む人の心情にズキュンと来る言葉の処方箋が、詰まった本です。







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あとは、春以降に読んだ本。

ある友人が、あの世までも持って行きたい一冊と言った「深い河」。
自分の一冊を探しながら読んだサン=テグジュペリ。
ユダヤ系アメリカ人女性作家グレイス・ペリ-を、村上春樹が翻訳したもの。
伊坂幸太郎は天才だと勧められたっけ。
大正から昭和初期、
日本一の年商を誇った神戸の鈴木商店を統率した女主人の半生を描いた「お家さん」。
老いていく両親を見ながら、自分もイイトシと健康が気になる。
人間の行動と感情を脳の機能で解明されると、何故か少し自分を許せる。
宮部みゆきの江戸物短編は、必ず一度は、鼻の奥がツ-ンとしてしまう。

この頃、どうもピリッとしない私デス。
記憶力もアヤシイし、なんか呂律も回らないったら。
先日、「のれんに腕押し」と言いたいところ、
うでんにのれ押し」と言ってしまい、大笑いされました~[あせあせ(飛び散る汗)]




















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菜の花の沖 [読書]

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司馬遼太郎の「菜の花の沖」、重量級です。
江戸時代後期の回船業者「高田屋嘉兵衛」1769~1827の生涯を描いた小説。
読み始めから読破まで、2ヶ月くらいかかりました

高田屋嘉兵衛は、兵庫県淡路島出身。
江戸時代後期、回船業で成功した人物です。
極貧の農民から船乗りになり、
やがて自分の船を持ち回船業を拡大。
最盛期には、日本中で高田屋の屋号を掲げた千石船が見られたといいます。

彼の功績は、
海の難所とされていた国後島~択捉島の航路を開拓したこと。
当時は、シベリアを東進してきたロシアが千島列島を南下。
択捉島までを自国の領土としていた日本と、
国境問題がチラチラし始めた頃。

何故、「菜の花の沖」を読んで高田屋嘉兵衛を知りたかったというと、
あの司馬遼太郎が嘉兵衛を評して、
「英知、良心、勇気をもって偉い人というなら、
学者、大名、発明家などいるけれど、
江戸時代を通して一番偉いのは高田屋嘉兵衛。
二番目が思いつかないくらい偉い人。」と、言ったと知ったからなんです。

大商人として成功しただけなら、それほどの評価にならなかったでしょうが、
嘉兵衛が遭遇した事件と、その解決に尽力したことによって、
司馬遼太郎が絶賛するに至ったのだとわかります。

その発端となった事件というのは「ゴロ-ニン事件」。
日露通商交渉のため長崎を訪れたロシア代表団に対して、
幕府は鎖国の国是を盾に拒絶。
屈辱的な扱いに怒ったロシア側の帰国途中、
一部の暴走船員が択捉島の日本人集落を襲います。
これは、ロシア本国の意志とは全く関係なくヤケクソで起こした事件だったのですが、
幕府はロシアが攻撃してくるのではないかと、ピリピリ。
そんな日本の状況を知らないロシア船ディアナ号が、
水、食料補給のため国後島を訪れた際、
幕府は、船長ゴロ-ニン他数人の水兵を捕らえてしまいます。
こんどは反対に、ゴロ-ニンを取り戻す交渉材料として、
ロシア側は日本人を捕虜にしようと、日本船を襲います。
その船が高田屋嘉兵衛の船で、
嘉兵衛と乗組員がカムチャッカまで連れて行かれてしまいます。

ここからが嘉兵衛の凄いところで、
日本史上初めてといっていい本格的な外交交渉を繰り広げます。
まず、言葉も通じない通訳もいない状況で、
相手船のリコルド船長と人間同士の信頼と友情を築き、
嘉兵衛自身は「私」を捨て日本国を代表するような気持ちで、
日本がロシアを恐れるに至る状況や、ゴロ-ニン達は全員無事でいることを説明。
リコルドには、ロシア政府と交渉させます。
嘉兵衛を信じ協力して、ゴロ-ニン解放という目的を遂行したリコルドという人が、
人間として素晴らしい人であったのも幸いでした。
嘉兵衛はリコルドを説得し、両国の和平のため双方のプライドを守りながら
ゴロ-ニン帰国交渉に必要な儀礼、文書を整えた上で、
武器の一つも使うことなく外交交渉だけで解決させるのです。
実際、幕府は交渉の全権を、
幕史でもなく武士でさえない商人の嘉兵衛に一任しています。

この間、嘉兵衛の人柄がいかに素晴らしかったかは、
ゴロ-ニンが書いた「日本幽囚記」に詳しく書かれており、
司馬遼太郎も、これを参考にしています。

嘉兵衛は貧しい育ちで教養というようなものを身に付ける機会もないまま、
海に出て船持ちになり、流通経済の現場主義で叩き上げた人です。
でも嘉兵衛には、今でも国際人として通用するような思想があるんです。

以下「菜の花の沖」から

「上等の国とは、他国の悪口を言わず自国の自慢をせず、
世界の国々とおだやかに仲間を組んで、自国の分の中におさまっている国をいう。
愛国心を売り物にしたり、宣伝や扇動材料に使う国は、ろくな国ではない。
好んで戦をし、人を害する国は国政悪い国だ・・・・」
鎖国で海外の情報など何も知らない嘉兵衛にして、この国際バランス感覚って凄いですよね。

他にも、嘉兵衛の人となりで、成る程と思うところがありました。
「利と欲とは違う、欲で商いをするな」ということ。
実際、幕府の東蝦夷、北方四島開発に協力して、
嘉兵衛が莫大な私費を、見返りを求めず投げ打っています。

船の中では仕事の上下にかかわらず、「皆、人である」と言いつづけ、
下の者を大切にしたこと。
同じような考えから、北海道先住民アイヌの人々にたいしても、
松前藩に虐げられた環境から解放し、利益を分配して漁業発展に尽くしています。

他にも、こんな哲学が・・・
「認識は、わけ知りを作るだけ。
わけ知りには志がない。志がないところに社会の前進はないのである。
志というものは、現実からわずかばかり宙に浮くだけに、
花がそうであるように香気がある。」

「自分について、自分の目から見ても他人の目から見ても、
ほぼ誤差がないところまで自分を鍛錬しようとしている。
つまりは、正直ということであった。
しかし不正直ほど楽なものはなく、正直ほど日常の鍛錬と勇気と自立の要るものはない。」

深く読み込めていませんが、生まれとか学習経験じゃなく、
人というのは資質だなと思います。
それと、人に共感できる感性。
嘉兵衛は政治家でも官吏でもなく、一介の商人です。
日本は世界にデビュ-前で、
全権を任されて外交にあたった日本人なんていなかったんですから。
現実には、そのとき嘉兵衛は日本で唯一人かつ最先端の外交官だったわけです。
それも、特別優秀な外交官。

外交ということで、余談になりますが。
NHKの「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」という4回シリ-ズの番組を観ました。
日本が、戦争という過ちをおかすまでの過程や、
なぜ回避できなかったのか知りたくて観てたんですけど。
そもそも最初の躓きは、未熟さからくる外交の失敗なんですよね。
いかに広い視野とバランス感覚が大切か。
でも、日本の外交は今に至るまで、どれだけ進歩しているでしょうか?
時も今、ロシアが国後島、択捉島でナンヤカヤ挑発して実効支配を強めてるし。
日本は日本で外務大臣が辞任して、また外交の空白が生まれましたよ。

ゴメンナサイ、また話は反れますが。
二十代のはじめ頃、北海道旅行がきっかけで色々知りたがりな時期がありまして。
その頃に読んでいた本を、久しぶりに手にとってみました。


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知里真志保博士はアイヌの方で、言語学者。東大卒業の後、北大教授になった方です。
姉の知里幸恵さんは「アイヌ神謡集」を著しています。
何かのきっかけで知里真志保博士を知って、著作が欲しいと思ったんですが、
当時この全集で手に入ったのは、この2冊だけでした。
左は神謡など、右はアイヌ語辞典になっています。



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付箋付けてまで読んでたんですねえ(笑)
北海道が舞台の小説も、読んだものです。
三浦綾子は、いつも一冊持ち歩いていた時期もあります。
どの本もドッグイアだらけにして、感動して・・・
渡辺淳一も、「阿寒に果つ」「北都物語」「流氷への旅」とか、読みました。
恋愛を主題にした小説を真剣に読んだのは、この頃が最後かも。
若かった頃・・・・懐かしく思い出しました。











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「愛と胃袋」 [読書]



NHKハイビジョンで放送された「愛と胃袋」4回シリ-ズ。
面白かったデス。
4人の女性直木賞作家がヨ-ロッパを訪ね、
土地の食べ物を味わいながら、それにかかわる人々を取材。
それを元に小説を書き下ろし、ドラマ化するというもの。

井上荒野  イタリア・ピエモンテ
森  絵都  フランス・ブルタ-ニュ
角田光代  スペイン・バスク
絵國香織  ポルトガル・アレンテ-ジョ

観光スポットを巡る名所案内は、ありません。
作家が出会うのは、
黙々と野菜を栽培し、牛を育て、
素材を生かしてシンプルに料理し、
感謝して、モリモリ食べる人々。
「自分の生きる場所はここ。」みたいに、根っこがドンと張っていて、
強さとしなやかさを感じました。

小説を現地の俳優が演じるドラマも、
さっきのアノ話から、こうきたか・・・と、楽しみながら観ました。

印象に残ったのは、
角田光代さんが言った言葉。
「腹を空かしていないか常に気にかけるのが、家族。」
そうねえ、確かにそうかも。
私も、一人暮らしの娘と電話するときは、必ず「ちゃんと食べてる?」と繰り返してますから~[わーい(嬉しい顔)]

一人寂しく向かうテ-ブル、たくさんの笑顔が囲む食卓。
食べる合間に、笑って泣いて思い出を作って、
それがつながって人生になるんだなあ。


料理と小説といえば、この本もいいです。


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ちょっとした時間で読める短編が、32編。
私は、毎晩寝る前に読んでました。
ほとんどの場合、登場人物は2人。
会話で語りつくさない部分を、料理が埋めているというか。
舌触り、匂いも感じながら、サラッと読めます。










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告白 [読書]




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湊かなえの「告白」、読みました。
題材、スト-リ-展開、ラスト、
重たいですし、何度もパシッと叩かれるような衝撃が襲ってきます。
どこかに救いはないのか?と、
光明を捜し求めながら読み進んでいる自分に気づきます。

それなのに、何故か高揚している自分もいるのでした。







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